数理情報第3研輪講
日時 |
2013年11月13日(水), 15:00〜17:00. |
場所 |
東京大学 工学部6号館 238号室. |
講演者 |
小熊和仁(M2) |
題目 |
ホドグラフ変換を用いた偏微分方程式の差分化(研究紹介) |
概要 |
本発表では,偏微分方程式の差分化手法として,もとの方程式にホドグラフ変換と呼ばれる変数変換をおこなって得られる方程式を差分化する手法を紹介する. ホドグラフ変換とは,対象となる偏微分方程式に新たな独立変数を導入し,もともとの独立変数および従属変数を新たに導入した独立変数の関数とみなした偏微分方程式へと変換することである.ホドグラフ変換を介して得られた差分スキームからは動的格子スキームを自然に得ることができ,さらに通常の差分スキームではまず扱うことができない多価性や特異性を含む解を扱うことができる可能性が秘められている. ホドグラフ変換はもともと主に可積分系の分野で用いられてきたものであり,ホドグラフ変換を用いた可積分離散化の方法も先行研究ですでにいくつか提案されている.しかし先行研究では,可積分系の分野でよく知られた知見を併用した方法のみが報告されており,ホドグラフ変換を用いて一般の偏微分方程式を差分化する方法については示されていなかった. そこで本発表では,先行研究の結果から可積分系に関する知見を除外しホドグラフ変換のテクニックのみを抽出することで,もとの偏微分方程式の形によらずに適用でき機械的な操作のみで実行することができるホドグラフ変換を提案し,なじみ深い偏微分方程式を例に挙げて実際に差分スキームを構成する手続きをみる. |