数理情報第3研輪講
日時 |
2012年6月5日(火), 17:00〜19:00. |
場所 |
東京大学 工学部6号館 235号室. |
講演者 |
小橋 昌明(M2) |
題目 |
Interpreting IDR as a Petrov-Galerkin method(文献紹介) |
概要 |
大規模連立1次方程式のKrylov部分空間法の一つに、2008年にSonneveldら[2]によって 提案されたIDR(s)法がある。方程式の残差がIDR空間の中に存在するようにし、残差が 0に収束するまで反復するアルゴリズムである。行列サイズをN×Nとしたとき、IDR(s)法では 高々N+N/s回の行列ベクトル積で解が求まり、これはBiCG法やBiCGSTAB法の上限回数より 少ない。実際の数値実験においても、それまでの手法と比べて計算量・安定性の面で優れて いることが示されている。 Prtrov-Galerkin法は、反復の途中で解を決定するために一般的に使われている指導原理である。 BiCG法やGMRES法は、適切なKrylov空間に対する直交条件によって解を決定している。 Simonciniら[1]は、IDR(s)法をPrtrov-Galerkin法として解釈するために有理Krylov空間を 導入した。BiCGSTAB法がIDR(s)法の一部と見なせることより、BiCGSTAB法もまたPrtrov- Galerkin法の一種と見なせる。また、パラメータωとしてRitz値を選んだIDR(s)法を提案し、 数値計算を行ったところ、元のIDR(s)法と同等かそれ以上の性能を示した。 |
参考文献 |
[1]V. Simoncini and Daniel B. Szyld, Interpreting IDR as a Petrov-Galerkin method. SIAM Journal on Scientific Computing, 32, pp.1898-1912 (2010). [2]P. Sonneveld and M. van Gijzen, IDR(s): a family of simple and fast algorithms for solving large nonsymmetric linear systems. SIAM Journal on Scientific Computing, 31, pp.1898-1912 (2008). |