数理情報第3研輪講
日時 |
2011年11月16日(水), 16:30〜18:30. |
場所 |
東京大学 工学部6号館 235号室. |
講演者 |
深堀 康紀(M2) |
題目 |
GBiCGSTAB(s,L)法のシフト線形方程式への応用(研究紹介) |
概要 |
連立一次方程式の係数行列が単位行列の定数倍だけずれたシフト方程式は, 素粒子物理学の格子量子色力学計算や物性物理学の大規模電子構造計算等に現れ,大規模な複数のシフト方程式を効率よく解くことが要請されている. 一方で係数行列が大規模疎行列である連立一次方程式の数値解法として Krylov部分空間法による解法が現在の主流となっているが,近年,Krylov部分空間のシフト不変性を利用したシフト方程式の数値解法が注目を集めている. なぜなら,複数のシフト方程式を解くために必要な行列ベクトル積の回数が, 1本の方程式を解くために必要な回数だけで済むからである. Krylov部分空間法の中で近年,IDR(s)法[2]が注目を集めている.このIDR(s) 法はBiCG法にs次のshadow residualと1次の安定化多項式を付加した手法と見れることが知られている[3].これに対して,[4]でこれの安定化多項式を L次に拡張した手法が開発されている. 1次のshadow residual,L次の安定化多項式に対応する手法であるBiCGSTAB(L)法に対しては,[1]でシフト方程式へ応用した手法が提案されている.本研究では[1]を参考にGBiCGSTAB(s,L)法をシフト方程式に応用した手法を考えた. 本発表ではこの手法について説明する. |
参考文献 |
[1] A. Frommer, Wuppertal: BiCGSTAB(L) for Families of Shifted Linear Systems, Computing, vol. 70, pp. 87--109, 2003. [2] P. Sonneveld, M.B. van Gijzen: IDR(s): A Family of Simple and Fast Algorithms for Solving Large Nonsymmetric Systems of Linear Equations, SIAM Journal on Scientific Computing, Vol. 31, pp. 1035--1062, 2008. [3] G.L.G. Sleijpen, P. Sonneveld, M.B. van Gijzen: Bi-CGSTAB as an induced dimension reduction method, Applied Numerical Mathematics, Vol. 60, pp. 1100--1114, 2010. [4] M. Tanio, M. Sugihara: GBi-CGSTAB(s,L): IDR(s) with higher-order stabilization polynomials, Journal of Computational and Applied Mathematics, Vol. 235, pp. 765--784, 2010. |