数理情報第3研輪講

日時
2011年11月2日(水), 16:30〜18:30.
場所
東京大学 工学部6号館 235号室.
講演者
倉前 裕成(M2)
題目
交互型離散変分導関数法における,保存量の対称化 (研究紹介)
概要

構造保存型数値解法のひとつである離散変分導関数法[1]について,近年,連立 系を対象に,スタッガード時間格子を導入して計算量の削減を実現する拡張が発 表者らによって提案された[2].しかし,[2]の手法では,実現される離散の保存 量・散逸量の時間対称性が崩れ,元の保存・散逸量との整合性が失われるという 理論的難点があった.一方,参考文献[3]ではZakharov方程式系に対する数値ス キームが提案されており,スキーム自体は[2]の枠組みに入るものであるが,時 間対称な離散版の保存量を再現するとされている.本発表では,その対称な保存 量は[2]によるスキームが担保する保存量の改変であり,従って[2]の枠組みに よって導出されるスキーム一般について,保存量・散逸量の「対称化」が可能で ある旨を指摘する.さらに,対称な離散保存量からの直接的なスキーム導出の可 能性について言及する.

参考文献

[1] D. Furihata and T. Matsuo, Discrete Variational Derivative Method: A structure-preserving numerical method for partial differential equations, Chapman & Hall/CRC, Boca Raton, 2011.
[2] 倉前裕成, 松尾宇泰, 連立偏微分方程式に対する交互発展型離散変分スキー ム,日本応用数理学会2011年度年会講演予稿集
[3] Q. Chang and H. Jiang, A conservative difference scheme for the Zakharov equations, J. Comput. Phys., 113 (1994), 309 -- 319.

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