数理情報第3研輪講
日時 |
2011年6月7日(火), 17:00〜19:00. |
場所 |
東京大学 工学部6号館 235号室. |
講演者 |
深堀 康紀(M2) |
題目 |
BiCGSTAB(L) for Families of Shifted Linear Systems(文献紹介) |
概要 |
連立一次方程式の係数行列が単位行列の定数倍だけずれたシフト方程式は, 素粒子物理学の格子量子色力学計算や物性物理学の大規模電子構造計算等に現れ, 大規模な複数のシフト方程式を効率よく解くことが要請されている. 一方で係数行列が大規模疎行列である連立一次方程式の数値解法として Krylov部分空間法による解法が現在の主流となっているが,近年,Krylov 部分空間のシフト不変性を利用したシフト方程式の数値解法が注目を集めている. なぜなら,複数のシフト方程式を解くために必要な行列ベクトル積の回数が, 1本の方程式を解くために必要な回数だけで済むからである. 紹介論文[1]では,Krylov部分空間法の一種であるBiCGSTAB(L)法[2]をシフト方程式の数値解法に応用したアルゴリズムが提案されている. 本発表では,このアルゴリズムについて説明する. |
参考文献 |
[1] A. Frommer, Wuppertal: BiCGSTAB(L) for Families of Shifted Linear Systems, Computing, vol. 70, pp. 87--109, 2003. [2] G. L. G. Sleijpen, D. R. Fokkema: BiCGSTAB(L) for Linear Equations involving Unsymmetric Matrices with Complex Spectrum, Electronic Transactions on Numerical Analysis, vol. 1, pp. 11--32, 1993. [3] 曽我部知広, 張紹良: 大規模シフト線形方程式の数値解法─クリロフ部分 空間の性質に着目して, 応用数理, vol. 19, pp. 27--42, 2009. |