数理情報第3研輪講

日時
2010年11月10日(水), 15:00〜17:00.
場所
東京大学 工学部6号館 235号室.
講演者
井町 宏人 (M1)
題目
人工市場研究の背景と研究事例
概要

人工市場とは,近年注目を集めているエージェントベース(agent-based)アプローチによる金融市場分析の手法であり、伝統的な経済理論に基づく市場分析の欠点を補うものとして期待が寄せられている.本講では人工市場研究の背景,手法及び以下の二例の成果について紹介する.
Arthurら(1997)[1]は投資行動を適応的に変化させる均質的でない投資家が存在する人工株式市場を設定し、ある条件下で合理的期待に基づく価格からの乖離が生ずることを示した.
U-Mart[2]はマシンエージェントと人間のトレーダーが同時に参加可能な株価指数の仮想先物市場である.谷口らはこれを用いて板情報の開示が市場参加者の取引行動ひいては市場全体に及ぼす影響を調査し,約定率において有意差を得た.

参考文献

[1] W. Brian Arthur, John H. Holland, Blake LeBaron, Richard Palmer and Paul Taylor (1997), Asset Pricing Under Endogenous Expectations in an Artificial Stock Market, The Economy as an Evolving Complex System II, Addison-Wesley, pp.15-44.
[2] 塩沢由典, 中島義裕, 松井啓之, 小山友介, 谷口和久, 橋本文彦 (2006),『人工市場で学ぶマーケットメカニズム U-Mart 経済学編』, 共立出版.

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