数理情報第3研輪講

日時
2010年10月27日(水), 15:00〜17:00.
場所
東京大学 工学部6号館 235号室.
講演者
西山 隆之 (M3)
題目
離散変分法に対するAitken加速を用いたステップ幅制御とcomposition法について(研究紹介)
概要

偏微分方程式を数値的に解く際に、計算時間の削減と精度保証のために時間方向のステップ幅制御という方法がある[1]。今回、離散変分法と呼ばれる離散エネルギーを保存する離散化スキーム[2]にステップ幅制御を適用した。
ステップ幅制御には局所誤差の推定が必要なので、低次の数値解と高次の数値解の差を局所誤差の推定値として用いた。高次の数値解はAitken加速を用いて得たが、加速した解を用いて時間発展を計算すると不安定になることが数値的にわかったため、加速しない解と1段加速列との比較を局所誤差の推定値としたステップ幅制御を実行した。確認のために非線形シュレディンガー方程式にステップ幅制御を適用し、数値解を厳密解と比較した結果、大域誤差を推定できていることがわかった。
以上の方法は時間方向に2次の方法を基本方法にしたステップ幅制御であり、より高次の方法でステップ幅制御をしたいという動機が生じる。そこでcomposition法を使えば保存量を保存したまま時間方向の次数を任意に上げることが可能であり[3]、さらにステップ幅を可変にできることを簡単に紹介する。

参考文献

[1] E.ハイラー/S.P.ネルセット/G.ヴァンナー,常微分方程式の数値解法1
[2] T. Matsuo, M. Sugihara, D. Furihata and M. Mori, Spatially accurate conservative or dissipative finite difference schemes derived by the discrete variational method, RIMS preprint No.1301, Kyoto University, 2000.
[3] M.-Z. Qin and W.-J. Zhu, Construction of higher order symplectic schemes by composition, Computing 47 (1992), 309-321

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