数理情報第3研輪講

日時
2010年10月20日(水), 15:00〜17:00.
場所
東京大学 工学部6号館 235号室.
講演者
塚本 昌也 (M2)
題目
Smoothed Aggregationを用いた代数的マルチグリッド法と陰的マルチグリッド法(研究紹介)
概要

楕円型偏微分方程式の離散化によって生じる連立一次方程式を高速に解く方法として,マルチグリッド法がある.特に,Smoothed Aggregationを用いたマルチグリッド法[1]は,未知数をアグリゲートと呼ばれる排反な部分集合に分けて,その部分集合を粗いレベルの未知数とする.方程式の係数が変動する不均質問題ではマルチグリッド法の収束が遅くなるが,アグリゲートの取り方を工夫することで収束の悪化を抑えることができる.本発表では,係数行列の値に応じたアグリゲートの取り方を紹介し,その数値実験結果を示す.
加えて,延長補間・制限補間を陽に行わず,レベルを統合化した大きな連立一次方程式を作ることで陰的にマルチグリッド法の効果を有する手法[2]を紹介する.これにより,問題の構築と定常反復解法を分離することができ,様々な前処理との併用が可能になるなどマルチグリッド法の応用範囲を広げることができる.

参考文献

[1] 藤井明宏,Smoothed Aggregation Algebraic MultiGrid Method in High-performance Computing Environment,東京大学大学院情報理工学系研究科コンピュータ科学専攻博士論文, 2003.
[2] 岩下武史,美舩健,島崎眞昭,新しいマルチグリッド解法:陰的マルチグリッド法の基礎概念,情報処理学会論文誌:コンピューティングシステム,Vol.48 No.SIG 8(ACS 18),pp.1-10,2007.

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