数理情報第3研輪講

日時
2010年6月29日(火), 17:15〜19:00.
場所
東京大学 工学部6号館 235号室.
講演者
深堀 康紀 (M1)
題目
自動残差修正方式を実装したGIDR(s,L)法 (文献紹介)
概要

近年,係数行列が大規模非対称な連立一次方程式の数値解法として,IDR定理に基づく反復解法が注目を集めている.これらの数値解法は,BiCG法に高次のShadow Residualと1次の加速多項式を付加した解法とみなせる.理論的には係数行列のサイズがN×NのときにN+N/s回の行列ベクトル積演算で真の解に到達するという性質を持ち,実際の数値性能も既存手法より計算量・安定性の面で優れていることが示されている.また,2009年には,BiCG法に高次のShadow Residualと高次の加速多項式を付加した解法にあたる,IDRstab(s,L)法[3]とGIDR(s,L)法[1]が提案された.さらに,[2]においてこれらの解法がIDR定理を一般化したGIDR定理に基づく反復解法として解釈できることが示された.また,[2]ではこれらの解法に自動残差修正方式を実装した改良手法が提案されている. 本発表では,GIDR(s,L)法について説明し,これに自動残差修正方式を実装したAC-GIDR(s,L)法を紹介する.

参考文献

[1] 谷尾真明: 双共役勾配法の拡張に関する研究, 東京大学大学院情報理工学系研究科修士論文, 2009.
[2] 塚田健: 一般化IDR定理に基づく反復解法に関する研究, 東京大学大学院情報理工学系研究科修士論文, 2010.
[3] G. L. G. Sleijpen, M. B. van Gijzen: Exploiting BiCGstab(L) strategies to induce dimension reduction, Reports of the Department of Applied Mathematical Analysis, REPORT 09-02, Delft Univ. Teck., 2009.

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