数理情報第3研輪講

日時
2008年12月3日(水), 17:00〜19:00.
場所
東京大学 工学部6号館 235号室.
講演者
鳥居 栄太郎(M1)
題目
離散偏導関数法によるGinzburg-Landau方程式の線形数値解法
概要

物理現象をモデル化した偏微分方程式には,エネルギーが時間発展とともに散逸する性質や,保存する性質を持つものがある.このような偏微分方程式を数値的に解く際には,これらの性質を保ったまま解くと計算が安定に進行することが多い.Matsuo[1]では,元の方程式のエネルギーの時間発展における性質を保った有限要素スキームを導出する手法として,離散偏導関数法が提案された.
 守[2]では,離散偏導関数法を用いて,超伝導現象のモデルとして知られるGinzburg-Landau方程式(GL方程式)を解く散逸スキームを提案している.このスキームにはGL方程式の高次の項に由来する非線形項が含まれているため,数値計算を行う際に非線形方程式を解く必要があり,長時間の計算を要する.Matsuo[1]では,高次項を既知の項をもちいて近似することでスキームを線形にする手法も紹介されている.
 本発表では,Matsuo[1]の方針に従ってGL方程式を線形化した散逸スキームを紹介する.Matsuo[1]の方針では線形化に自由度があり複数のスキームが得られたため,それらの数値実験の結果から各スキームの比較についても述べる.

参考文献

[1] T. Matsuo. Dissipative/conservative Galerkin method using discrete partial derivatives for nonlinear evolution equations. J. Comput. Appl. Math., Vol. 218, No. 2, pp. 506--521, 2008.
[2] 守翔太. Ginzburg-Landau方程式に対するエネルギー散逸性を保つ数値解法. 東京大学大学院情報理工学系研究科修士論文, 2008.

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