数理情報第3研輪講

日時
2008年7月15日(火), 17:00〜19:00.
場所
東京大学 工学部6号館 235号室.
講演者
山中 卓(D1)
題目
構造型モデルに基づくCredit Barrier型格付推移モデル
概要

企業の倒産に伴う損失の可能性(信用リスク)を指標化したものに信用格付がある。金融資産のリスク管理や価格評価において、信用格付の推移をいかに予測するかは重要である。本発表では信用格付推移の予測および金融資産の価格評価のための信用格付推移モデルを提案する。  本発表で提案するのは、Credit Barrier型の信用格付推移モデルである。Credit Barrier型のモデルは、企業の信用力を表す確率過程を考え、その水準によって信用格付が決定するというタイプのモデルである。このCredit Barrier型格付推移モデルにおける格付決定の仕組みは、企業の倒産発生のモデルである構造型モデルに由来する。  本発表では、構造型モデルとしてよく知られたBlack-Coxモデル(1976)とCDGモデル(2001)をそれぞれCredit Barrier型格付推移モデルへ変形した2つのモデルを考える。発表では、モデルの定式化と数値例によるモデルの比較を行う予定である。

参考文献

[1] C.Albanese and O.X.Chen(2006):Implied migration rates from credit barrier models. Journal of Banking and Finance, vol.30(2006),pp.607--626.
[2] F.Black and J.Cox: Valuing Corporate Securities: Some Effects of Bond Indenture Provisions. Journal of Finance, vol.31(1976),pp.351--367.
[3] P.Collin-Dufresne and R.Goldstein: Do credit spreads reflect stationary leverage ratios? Journal of Finance, vol.56(2001), pp.1929--1957.
[4] M.Gordy and E.Heitfield: Of Moody's and Merton: a structural model for bond rating migration. Working paper (2001).

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