数理情報第3研輪講
日時 |
2008年6月3日(火), 17:00〜19:00. |
場所 |
東京大学 工学部6号館 235号室. |
講演者 |
谷尾 真明(M2) |
題目 |
連立一次方程式の反復法における、IDR(s)法とBi-CGSTAB(L)法のハイブリッド解法について |
概要 |
大規模疎行列を係数にもつ連立一次方程式において、疎性を生かして高速に解を得る方法として反復法が存在する。 既存の研究としてはBi-CG系統の反復解法が知られていたが、2007年に、既存の反復法とは異なる概念により構築されたIDR(s)法がSonneveld[1]らによって発見された。IDR(s)法の優れている点としては、解が収束するまでに必要な行列とベクトルの積の演算回数が、既存の方法だと高々2N回必要だったが、IDR(s)法は高々N+N/s回で収束することが理論的に示されており実際に数値計算においても、Bi-CG系統の反復法より、高速に解けることが多いことが報告されている。 しかし、IDR(s)法の欠点としては、加速多項式が1次に限定されてしまう点でこのことにより、問題によっては、解の収束が著しく遅くなることが報告されていた。 本発表では、複数次の加速多項式を持つBi-CGSTAB(L)法[2]を拡張することにより、IDR(s)法と同等の高速性を持つアルゴリズムを発見したのでその報告を行う。 |
参考文献 |
[1] P. Sonneveld and M. B. van Gijzen: IDR(s): A Family of Simple and
Fast Algorithms for Solving Large Nonsymmetric Systems of Linear Equations, TR07-07, Math. Anal., Delft, 2007. http://ta.twi.tudelft.nl/main.php?item=3.
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