月別アーカイブ: 2014年06月05日

改行問題

改行するか,しないか,それが問題だ.

といってもいま書いている論文の話ではない.メールの話である.メールの本文は,改行すべきか,するべきでないか.これはかなり深遠な問題である.私が認識している現状は以下のとおりだ.

  • もともとは,メール本文は70文字(半角)程度で改行「すべき」であった.このことは,この種の業界標準を定めたRFCにもちゃんと書いてある.これを踏まえて,一昔前のメールクライアントは,規定の文字数で自動的に改行を入れてから送信するものが多いし,一定の年齢以上の人(すくなくとも私より上)は,メールの本文とは改行を入れるものだと思っている.
  • しかし,gmailなどの「横幅可変な」メール環境では,テキストに明示的に改行が入っていると変なところで表示が切れてしまい,かえって不便である.そこで,メールを書くときは,段落分けの改行以外の改行は入れる「べきでない」と思っている人もいまは多い.

そもそも昔はなぜ改行を入れていたのか.色々理由はあろうが,「昔はデータストリームが細く,『短い一行単位』でデータ通信を行っていたので,改行を入れずに超長い文章を送ると,どこかでこける恐れがあった」「昔は,そもそも端末が『80文字×??行』と固定サイズだったので,それを基準に物事を考えればよかった」というあたりが主な理由ではないだろうか.RFCはそれを根拠に定められたものであるし,少し前までは,改行をせずに長い文の入ったメールを送ると,上司(先生)から丁重な「指導」が入るのが常であった.

しかし,いま,PC上でも「メールクライアントの横幅」は人それぞれてんでばらばらだし,スマホの類いに至ってはせいぜい数十文字しかないのだから,どの環境でもそれなりに見えるには,「改行を入れず,クライアント側に表示を任せるのがよい」という考え方は,なるほど頷けるものである.この視点から,いまは私も,学生さんが送ってきたメールに対して特に「改行しなさい」とは言わないようにしている.実際,いま私が書いているこの文章だって,クライアントブラウザの表示に任せているのであって,(段落分け以外の)改行を明示的に入れたりしていない.

ただ...世の中,「だったら改行しない,でいいじゃない」と簡単に割り切れないのが難しいところだ.いまはまだ過渡期なのであって,「改行すべき派」と「改行すべきでない派」にはそれぞれ正当な理由がある.これは2つの意味においてである.

  • まず,メールクライアント自体が,実はまだ過渡期にある,ということ.例えば私が使っている某雷鳥メールクライアントは,「改行なし」のメールを受け取ったとき,
    • 平文であればクライアントのウィンドウ幅で折り返して快適に表示してくれるが,
    • 引用文のときはなぜか放置プレイで横スクロールバーを表示してしまう.

    よって,「改行なし」のメールを引用したメール...を受け取ったとき,私は毎回,一生懸命スクロールバーを使って原文を読んでいるのである.(かなりの苦痛!←なにかいいプラグインとかでどうにかなるなら誰か教えてください.)そういうクライアントを使う方が悪いのだと言われればそれまでだが,それを言ったらgmailなどのクライアントだって,「改行あり」のメールをintelligentに改行を削除して段落表示してくれるわけではないわけだから,どっちもどっちである.

  • つまり,どう書いたところで結局誰かにとっては不便なのである.だから,「メールは改行するものである」と教えられてきた年長組が「改行する派」から動かないのはやむを得ないし,反対に,生まれたときからgmailやスマホが標準であった若者組が「改行しない派」を合理的と考えるのも自然なことである.重要なのは,この2つが混在している,という事実を正しく認識することであろう.(「住みやすい社会」とは「『正しい』価値観で統一された社会」を言うのではなく,「色々な価値観があって,それでいてどうということもない社会」のことである!(この台詞は本質的に作家の橋本治による))

結局,改行に関するメールの「マナー」とは,いまの時代何なのであろうか.上述のとおり,すくなくとも現時点では確固たる答は出せないように私には思われる.強いて申せば,本来「マナー」とは固着した特定の流儀を指すのではなく,「相手が心地よい流儀であること」のはずだから,その原則に立ち返れば,改行する派の人には(その人の改行幅に合わせて)改行したメールを送り,しない派の人にはしないメールを送る,というのが最良なのであろう.

で,私自身の現在の流儀であるが,上に述べた適応的なやり方を実行している余裕もなく,結局私はいまだに「70文字程度で改行する派」から動けていない.これには,年取って新しい流儀に移るのが面倒だから,とか,私より年長の方々(=私がより敬意を示すべき方々)が同様だから,とか色々理由があるのだが,それを言っても詮無いことは上に申したとおりで,それで自分が正当化されるとは思っていない.

ここからが,この駄文で最も言いたかったことで,私のメールを受け取られる方の中には,「改行すべきでない派」の方ももちろんたくさんいて,こいつのメールはいつも変なところで改行があって読みにくいな,と思っておられるのでしょうが,まあそのとおりで返す言葉もないのですが,これは私なりに悩んで「選択」した結果なので,そこら辺の事情をご賢察の上,寛大にご笑覧いただければ幸いなのであります.(たまに,気まぐれに「改行しない派」の人のメールに,「改行しない派」で返すことはあります.)

googleカレンダーに予定を一括登録する方法

googleカレンダーに,毎週ある予定などを書き込むとき,ひとつのやり方は

  1. まず最初の週の予定を普通に登録する
  2. 次に,その登録した予定を「予定を編集」で開き,「その他の操作」から「予定を複製」を選択.新しい(複製する)日付を入力する

で,次々と予定を増やしていくことです.

しかし2~3個ならともかく,10個を超える予定をこれで入力するのは骨が折れます.そのときは,次のようにしてCSV形式のファイルから一括登録すると便利です.EXCELを使います.

  1. 次のEXCELシートをダウンロードします:
    google_calender_schedule.xlsx(ダウンロード後,名前は適当に変更してよい)
  2. このEXCELシートを開いて,予定を書き込みます.見れば分かると思いますが,一行だけサンプルの予定を入れてありますのでそれを参考にしてください.EXCELなので,行をコピーして予定を増やすのは簡単です.
  3. すべての予定を書き終えたら,[名前を付けて保存]で「CSV形式(カンマ区切り)」を選択して保存します.
    【重要】CSVファイルは漢字コードUTF-8にする必要があります.お使いの環境で,Shift-JISなどで保存される場合は,エディタ等で一度CSVファイルを開き,エンコードをUTF-8に変更して保存し直してください.
  4. google calenderをウェブで開き,[マイカレンダー]の右側の「▼」印をクリックして[設定]を選択します.
  5. [カレンダーをインポート]を選択し,上で作成したCSVファイルを選択します.マイカレンダーに複数のカレンダーを設定している場合は,どのカレンダーにインポートするかも選択します.最後に[インポート]をクリックします.

これで,指定した予定が一気にカレンダーに書き込まれます.

上ではEXCELを使っていますが,CSVファイルの書き方を知っていれば,テキストエディタで直接CSVファイルを作ることもできます.が,EXCELを使う方がラクでしょう.

なお,上の最後のステップで,「以上の予定をカレンダーに書き込みますか?」などの確認は一切出ないので気を付けてください.一旦読み込んだ予定を取り消すこともできません.CSVファイルの中に一部不正な行があった場合,その行は飛ばされますが,どの行に不正があったかも教えてくれません.ひとつひとつ書き込まれた予定をチェックして,どの予定がスキップされたかを手動で探す必要があります.

また,上で述べたように漢字コードをUTF-8以外にしていると,読み込んだ予定が盛大に文字化けします.そのときは,「一括取り消し」という手順がないので,手動ですべて削除しなければいけません.そのため,一度に登録する予定は10個程度にとどめておくのがお勧めです.100個以上の予定を書き込みたい場合は,手数がかかりますが,いくつかに分割して登録するのがよいでしょう.

このように,いささかインターフェイスに問題はありますが,しかしかなり便利な機能ですので,ぜひ使いこなしてみてください.

英語論文を書くとき

研究をやっていると英語で文章を書くのは避けて通れない道ですが,私が論文を書くときに机の上に広げているものを紹介します.

  1. Cambridge Dictionaries Online: イギリス英語のオンライン英英辞書.
  2. The American Heritage Dictionary: アメリカ英語のオンライン英英辞書.→冊子体の辞書を使っても良いのですが,最近はオンラインで検索した方がずっと速いし,発音も聞けるので,私はこちらを使っています.ちなみに,英和辞典は使わないのもポイントです.英英を使う方が,ついでに英語のrephrasing(ある言い方を,他の英語でどう言い換えればよいか—英会話で詰まったときこのrephraising能力が大きな助けになります) の練習にもなります.(高校生を含めて,ある程度のタイミングで英和辞典は手放すのが良いと私は思います.)
  3. スペースアルクの中の「栄辞郎」: オンラインの英和・和英 翻訳例集です.これはプロの翻訳家たちが集めた翻訳案を単語・熟語・例文ごとにまとめたもので,辞書的に使えますが辞書ではありません.つまり翻訳の精度は必ずしも保証されていません.これの「和英」部分を主に使います.「こんなこと言いたいんだけどどうやって言うのかな」と思ったとき,まずこれで検索して,可能性のありそうな表現をピックアップします.また,何度も同じ表現(形容詞)ばかり使っていて,中学生英語だな,と思ったとき,thesaurus(同異義語集)としても使えます.しかしそれをそのまま鵜呑みにして使ってはダメで,それをさらに上の英英辞書で調べたり,phrase をググってみて,英語圏で使われているかどうか調べてから書き込みます.
  4. “Practical English Usage” (by M. Swan, Oxford, ISBN 0-19-431197-X): これが有名でよく使われる気がしますが,要するに文法書です.文法的な事項で「あれ?これってどう書くのがルールなんだっけ?」と迷ったときは,これをあたります.たとえば “a knife and a fork” と “a knife and fork” のどっちが正しいんだっけ?と迷ったようなときです.(この例自体は,182節の “ellipsis” のところに載っています).この類の本はいっぱい出てるので,丸善や紀伊国屋で実際に眺めてみて,自分が使いやすいものを選べばいいと思います.