担当 : 足立 智
題目 : 正定行列束判定の複数行列への拡張
概要 :
エルミート行列束(A,B)が正定行列束であるとは,ある線形和を取ったとき正定値行列にできることをいう.正定行列束に対しては一般化固有値計算や線形方程式の求解[2]などで性質のよい解法を用いられることが知られている.
エルミート行列束が正定行列束であるかを,単位円周上で探索を行うことで判定するアルゴリズムがCrawford and Moonにより提案された[1].本発表ではこのアルゴリズムを拡張し,エルミート行列が3個以上存在する場合にそれらの線形和を正定値にできるかの判定法を説明し,反復回数などの性能に関して考察する.
参考文献
[1] C. R. Crawford and Y. S. Moon. Finding a positive definite linear combination of two Hermitian matrices. Linear Algebra and its Applications, 51, pp:37-48, 1983.
[2] J. Liesen and B. N. Parlett. On nonsymmetric saddle point matrices that allow conjugate gradient iterations. Numerische Mathematik, 108, pp:605-624, 2008.