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代数的マルチグリッド法におけるaggregationの改良

担当:松岡 栄光

題目:代数的マルチグリッド法におけるaggregationの改良

概要:
 大規模疎行列を係数行列とするような線形方程式は,科学技術計算の様々な場面で現れる.線形方程式の解法として,ガウスザイデル法や共役勾配法などが古典的なものとして知られているが,収束に必要な反復回数が問題規模に依存するため,大規模問題の解法としては適していない[1].また,ガウスザイデル法に代表される定常反復法は,格子幅と同程度の波長を持った誤差成分は減衰させやすい一方で,格子幅に比べて波長の長い波は減衰させにくいという特徴を持っている.
 マルチグリッド法は,異なる幅の格子を用いることで,より効率よく誤差を減衰させられる解法である[2].代数的マルチグリッド法は幅広いクラスの問題に適用可能であるが,問題規模が大きくなるとやや反復回数が増える傾向にある.Smoothed aggregation multigrid と呼ばれる手法では,いくつかの節点の集合を新たな節点とみなして格子系を構成していく(aggregation)が,ここでの節点の選び方が収束率に影響を及ぼすと考えられる.
 本発表では,aggregationを工夫することで収束率が改善したことを示し,その幾何的考察についても述べる.

参考文献:
[1] William L. Briggs, Van Emden Henson, and Steve F. McCormick. A Multigrid Tutorial. Siam, 2000.
[2] Akihiro Fuji. Smoothed Aggregation Algebraic MutiGrid Method in High-performance Computing Environment. PhD thesis, University of Tokyo, 2003.