櫻井 隆雄
2014/5/14 (水), 15:00-17:00
東京大学 工学部6号館 235号室
大規模な疎行列を係数とした疎行列反復解法の収束性を向上させるための前処理法が提案されており[1],特に,悪条件の行列に有効となるものに不完全LU分解前処理が存在する.不完全LU分解は,行列AをLU分解する際に,Aでは零要素であったものが,LU行列では非零となる,いわゆるfill-inを制限することで計算コストとメモリ使用量を削減している.その制限手法は様々な種類のものが提案されており[2,3],それぞれが制限する範囲をパラメータとしているため,与えられた問題に対するそれらの値の適切な選択が課題となっている.
本発表では,それらのパラメータの内容を実際に測定した結果とともに紹介する.
参考文献
[1] Y. Saad, Iterative methods for sparse linear systems., SIAM (1996).
[2] Y. Saad, ILUT: A dual threshold incomplete LU factorization., Numerical Linear Algebra with Applications (1994) 387–402.
[3] A. Gupta, and T. George, Adaptive Techniques for Improving the Performance of Incomplete Factorization Preconditioning., SIAM Journal on Scientific Computing, (2010) 84–100.